人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ
佐藤白君
sugarwhite.exblog.jp
板海苔を作ってみた
日本のソウルフードともいえるおにぎり。

その原材料となる米や塩についてうんちくを語れる人はたくさんいる。
そして、比較できるサイトや店もたくさんある。
でも海苔はどうだろう?

…なんて思うようになったのは、商談会で有明海産、瀬戸内海産、千葉県産の焼き海苔を食べ比べするという「きき海苔」ができるブースがあったからだ。
板海苔を作ってみた_e0075245_2061485.jpg

これがなかなか新鮮な体験だった。見た目がほとんど変わらないのに、口に含むと確かに味が違う。微妙な違いなのだけれど、明らかに、似合う料理が違う気がした。地味な素材だけに、けっこう「へえ~!」という感じだった。

それ以来、海苔の感動体験を提供できるようなプロモーションがしたいなあ…(脳内に夢の店有り)と思っていたところ、「大森海苔のふるさと館」という博物館を見つけた。

この界隈は、昭和30年代に海苔の生産拠点が2000件もあった場所。しかし東京港の整備にあたり、生産者は海苔の養殖を辞めることを余儀なくされる。その名残で、大森は今も海苔問屋が多い。そこで、江戸から昭和にかけて大森が確立した海苔づくりを今に伝えるために作られたのが同館だという。

ここで私が惹かれたのが、板海苔づくり。
なんと、自分で生海苔型に流し込み、乾燥させて、あのペラペラとした薄い海苔を作ることができるのだ。もちろん専門家による指導&講義もある。最後は干し上がった自作の海苔を持ち帰れるというのだから、達成感があるじゃないかあ。

私が参加した日は運よく、千葉県市川市の生産者さんから届けられた海苔網(海苔がくっついている仕掛けのようなもの)から海苔を収獲するという貴重な体験もでき、ラストは大森の海苔問屋さんからおいしい海苔の焼き方指南を受け、海苔を焼いて食べるというイベントまであって盛り沢山だった。

板海苔を作ってみた_e0075245_20174136.jpg

海苔の付いた海苔網。なんだかごみのようですが、ここにびっしりと海苔が付着。指導は、かつてこの地で海苔作りに携わった方々がしてくださる。
板海苔を作ってみた_e0075245_20184995.jpg

生海苔の収獲は11月~3月くらいまで行われ、最初にとったものを一番海苔という。

板海苔を作ってみた_e0075245_20195364.jpg

いつの間にかバケツが海苔でいっぱいになる。会場では、子どもが「海苔まみれ~海苔まみれ~♪」と歌いながら海苔をかき集めていたが、実際、このイベントは最後まで「海苔まみれ」になるものだった。最初の段階でこれを言い当てた彼は鋭い。

板海苔を作ってみた_e0075245_20213673.jpg

板海苔を作ってみた_e0075245_20215028.jpg

中華庖丁のようなものでトントン叩いた後、さらに細かくして板海苔の歯切れをよくするよう、三枚の刃がついた海苔切り包丁で叩く。職人の道具はカッコいい。

板海苔を作ってみた_e0075245_20231180.jpg

水に放った海苔を型の中に流し込み、型を外して海苔簾(葦で編んだ海苔付けのための道具)を干す。
板海苔を作ってみた_e0075245_20232516.jpg

板海苔を作ってみた_e0075245_20233953.jpg

枠の中央をめがけて升の海苔水を放つと、ムラなく海苔が一面に広がるが、これができるのが熟練の技。

板海苔を作ってみた_e0075245_20254418.jpg

海苔簾にへばりついた海苔は2mmほど。これがペラペラになるんだから驚きだ。


今は機械化されている部分も多い海苔製造だが、このような手間暇を考えると、海苔は高級品だったのだなあと思う。
今まで、あまり高い海苔は買ったことがなかったけれど、こういう体験をしてみると、思いっきり高い海苔も食べてみたい気がするものだ。さて、手作りの海苔を焼のりにしようか、海苔巻きにしようか。うれしい悩みだ。

板海苔を作ってみた_e0075245_2031467.jpg

大森海苔のふるさと館は、近隣にコンビニや飲食店等がないため、「一日まるごとのりのり体験」に参加する場合は弁当持参で。晴れた日は隣接する公園で食べるといい気分。
# by sugar-white | 2011-04-27 20:40 | 食の旅